知らず知らずのうちに [自由詩]
始まりと終わり [日々の出来事]
(近所の公園より)
今朝起きて私がリグングに行くと、次男がいた。彼は白のワイシャツにブルーの生地に白とそれよりも細いブラウンのストライプが入ったネクタイを締めていた。
「今日意外と寒くない? お父さんの薄手のコート貸してくれない?」というカミさんに、次男は「いらないよ、いらない」と上手く結べないネクタイに少し苛立っているのか、素っ気なく答えていた。
そうかなぁと呟きながら玄関に向かったカミさんは、靴箱からピカピカに光った革靴を取り出した。
私はその光景から、二つの疑問を抱いた。
まず一つは、身長173センチである私のスプリングコートは、果たして180㎝近い彼に合うのかどうか?
と、30数年の夫婦生活において、一度でも私に対して靴の準備などしてくれたことがあっただろうか……
しかし、そんな疑問もすぐに消え去り、今日で父親としての大きな義務の一つを果たし終えたのだなぁ、と嬉しくも少しさみしい感慨を覚えずにいられなかったのでした。
本日、次男が6年前の長男に続き社会人になりました。
ご報告まで。(^^)/~~~
2022年6月の井の頭公園にて [小さな情報]
またたく間に2月を迎え、あと11カ月もすれば色々なことがあった今年も終わってしまうのか、なんて過ぎ去った日々をしみじみと振り返りながら、皆さまに再会できたことを嬉しく思います。
3か月半ぶりの本日は、アップされずに残されていた下書き記事を編集してみました。ことわっておきますが、それがしの無事を知らせることが目的だけの、取るに足らないつぶやきです。
☆ ☆ ☆
あれは昨年の6月の下旬、その日は参議院選の真っ最中だった。知り合いの奥さんがある新しい政党の応援演説に登場するとのことで、私は吉祥寺駅前にいた。その帰りに寄った井の頭公園で、思わず小川の手前で足を止め、スマホを取り出し連写した。
こうも暑いと、マスクはもちろんのこと、シャツから下着まで全部脱ぎ捨て、水浴びがしたい。とはいえ、こタイシードを脱ぎ捨てるなんて出来やしない。すでにエメラルドグリーンのタキシードは首筋から流れ出る汗で濃いブルーに変わりつつある。
「素敵なタキシードですね」
「いえいえ、たいしたことありませんよ」
「とってもお似合いですよ」
重ね着なんてするんじゃなかった……
もうろうとした自分と川面の境界線が曖昧になり、もはや限界に達した。
うぉぉ~、気持っち、いいぃーーーー
(この画像だけはウェブからの拝借です)
(あとがき)
厳しい寒さが続いている最中に、こんなナンセンスな夏のお話でお許しください。ただ、この時はまさか井の頭公園でこんな光景に出くわすとは思いもよらず、息をひそめてシャッターを切りまくっていたことを思い出します。また、応援に行った新しい党はまだまだひよっこながらも、期待は大です。かくいう私は年齢基準で出馬できませんが、これからも応援していくつもりです。そして最後に、前回の記事で取り上げた危機的状況は完全に終息し、こころ穏やかな毎日を過ごしておりますことをご報告し、終わります。皆さま、超遅ればせながら、本年もよろしくお願い申し上げます。(^^)/~~~
暴風雨が去った [日々の出来事]
昨夜の渋谷歩道橋から
「……については、これまでも度々説明しているところであり、引き続き、適切に説明していくことが重要であると考えています」
私は昨日から黒縁の眼鏡をかけ始めた社員と肩を並べて、国会中継が流れるラジオに向き合っていた。
「相変わらず、野党さんはくだらない質問ばかりだな。ちょっと時間ある?」と私は会議室を指さしてその社員に言った。
「辞めて、どうするの?」
「実は主人にも未だ話していないんですけど、ネイルサロンをやろうと思っています」
「自分で開業するってこと?」
「はい」
「ようやく仕事にも慣れてきて、頼りになる人材になってきたと喜んでいただけに、残念だね」
「申し訳ありません。コマツさんにはいろんなことを教えて頂いたし、私のおっちょこちょいなところを何度も助けていただき、本当に感謝しています」
「そんなことはいいけど、旦那さんにはちゃんと話しておいた方がいいよ」
私の顔を見ながら、一文字に結んだ口元から彼女の意志の固さがわかったような気がした。
☆ ☆ ☆
私が60を手前にしてこの会社に入社してから、早や2年半が過ぎた。
人間生きていると思わぬ事態が待っているもので、入社以来マイペースで業務を続けていた私に突然、暴風雨が直撃した。いくら想像力過多とまでいわれている私でも、その原因たるやまさに想像を絶するものでした。
それはある部署で不正が発覚したのです。極めて悪質で、甚大な損害という点においても驚くべきものでしたが、それだけにとどまらず、なんと私がその後任の責任者になってしまったのです。
私が抜擢された経緯は省略しますが、その不正を働いていた前任の役員は退職後、自殺を図っていました。そして6月に着任した私は、慣れない仕事と損害を受けた顧客との間で、悪戦苦闘の日々を送ってきました。
それでもようやく今月というようりも、今週から徐々に平穏な日々が戻ってきています。(損害を受けた顧客との交渉は未だ続いているので100%平穏というわけには参りませんが……)
この5ヶ月弱を振り返ってみると、暴風雨の中でもなんとか頑張ってこれたのは、いつでも前向きで、明るい性格の社員のお陰もあったのかなっ、としみじみそう思っています。
「ネイルサロン、頑張ってね!」
暴風雨 去っても淋し 秋深む (^^)/~~~
遅ればせながら [PR]
(2022年1月6日 東京の雪)
今日はとりわけ寒い一日となった。明後日には東京にも雪が降り積もるそうだ。そんな寒い通勤の朝、私は身体を丸め、手術を3回も経験した左眼を守るために買ったライトカラーの度付きサングラスにマスクという出で立ちで歩いていた。三年も前なら警察に呼び止めらてもおかしくない雰囲気であったはずなのに、一向に周りの怪しむ気配を感じることなく、すっかり雑居ビルが立ち並ぶ道玄坂の風景になじんでいた。
とかなんとか、しれっと皆さまに超遅ればせながらの「本年もよろしくお願いします」のご挨拶です。
それにしても相変わらず、すっきりしない世の中ですよね。感染症は収まるどころかいまだ拡大の一途をだどっていますし、ウクライナはどうなるの? 台湾は大丈夫? って中でも何事もなかったように平和の祭典オリンピックが行われています。見違えるほど綺麗になったジャンプ女子選手の不運には同情しなくもありませんが、私の中では全く盛り上がってきません。頑張っている選手たちにはまことに申し訳ないんですけど……
そんな中、悲しいニュースが続きました。私の大好きな作家である石原慎太郎さんと北町貫多こと西村賢太さんが矢継ぎ早にお亡くなりになりました。10代のころから石原作品を愛読していたという西村さんの死は、石原さんの死と何かしらの因果関係があったのではないかと考えざるを得ないタイミングだったように思います。
簡単ですけど、最後に西村さんが『苦役列車』で芥川賞を受賞したときの石原さんと(もう一人私が大好きな作家)村上龍さんの評価コメントをご紹介して、お二人のご冥福をお祈り申し上げます。
石原慎太郎:この作者の「どうせ俺は――」といった開き直りは、手先の器用さを超えた人間のあるジュニュインなるものを感じさせてくれる。この豊穣な甘えた時代にあって、彼の反逆的な一種のピカレスクは極めて新鮮である。昔、池田得太郎の「家畜小屋」という作品を褒めた誰かが、「色の黒いの七難隠す」といっていたが、この作家の特性もそれに繋がるものと思う。
村上龍:相応の高い技術で書かれていて、洗練されているが、「伝えたいこと」が曖昧であり、非常に悪く言えば、「陳腐」である。作家は無意識のうちに、また多くの場合は無自覚に、現実と対峙し、作品はその哲学や人生の戦略を反映するのだ。新人作家に対し、このような注文をつけるのは、『苦役列車』が質の高い作品だとわたしが認めているからである。
☆ ☆ ☆
皆さま、まだまだ厳しい寒さが続いておりますが、どうか幸多き春の門出となりますよう、遅ればせながら心よりお祈り申し上げます。(^^)/~~~
師走の公園だより [その他雑感]
私は昨日の夕方遅くに、寒い中公園のベンチにひとり座り、一時間近くも空を見ていた。
すべての葉が落ちてしまった桜の枝が消え入る寸前の夕焼けに重なり合う。もしここでカラスが鳴いたら、物悲しい雰囲気がいっそう増したかもしれないが、聞こえてきたのは消防車のサイレンだった。火の用心。
あと十日あまりで今年も終わろうとしている。私は冷たいベンチに座り、同時に登山用のレイヤー重ね着機能に感動しながらこの一年を振り返ってみた。自分自身のことは別にして、世間でいえば、エンゼルス大谷選手の大活躍や松山選手のマスターズ制覇、連日のメダルラッシュに湧いた東京五輪、28人目の日本人ノーベル賞の受賞など、日本人として誇りに思える嬉しいシーンが多く思い出された。
しかし残念なことに、あの怨めしき感染症に関してだけは気にならない日が一日もなかったように思う。暑かった夏の終わり、8月26日時点の一日の感染者数は2万4976人、重症者数1974人、死亡した人の数は52人。
その日、公園の彼は待機施設には移動できずに自主隔離のまま治療中だった。
あれから4か月。昨日の新規感染者数は177人、重傷者数27人、死亡した人は0人、と見事にさざ波に落ち着いている。そして何よりも、彼が無事回復していたことに安堵した。
彼の嬉しそうな表情に、ズームアップ!
来年もこの調子で減り続けますように! そして皆さま、お元気でいてくださいね! (^^)/~~~
秋っぽい日々 [その他雑感]
小雨が降りつづく渋谷交差点付近
今日はあいにくの雨。気温も一段と下がり、寒い一日となった。
6月の下旬から始めた週末の低山登山はお盆前まで続き、自分でも驚くほど週末のその時間が楽しみになっていた。同時に、日帰り登山に必要な装備を揃えることにそれなりのお金も費やした。
にもかかわらずだ……
書斎と呼ぶには誠に貧相な私の部屋の隅に、新品のリュック、未使用の登山靴、息子が幼稚園の時に使っていた水筒、小さくたたみ込まれ、ぷっくりと膨らんだレインウエアの収納袋、一本のストック、そのストックの頭にぶら下がるモンベルの帽子。みんな一様に淋しそうに見える。
あの2か月前の熱気は一体どこにいってしまったのか。ちょうどそれは1ヶ月間隔で行われるワクチン接種の日が決まったころからだったように思う。ご存知ない方もいらっしゃると思いますが、その昔、私のブログはほぼ毎日更新されていた。
熱しやすく冷めやすいコマタツからのお便りでした。皆さん、お元気ですか?! (^^)/~~~
ダボダボTシャツとたっぷり森林浴 [日々の出来事]
父の日の前夜、次男から「まだまだオーバーサイズが流行ってるから・・・これ!」という理由で肩の線が落ちてしまったTシャツをプレゼントされた。私は思わず帽子を深めに被り、指を突き出し、〇ー×△?っだぁ!っとリズムを取りながら、昨日は家をでた。そんな私を見送るカミさんは一つ溜息をつき、無言で首を左右に振っていた。
さて、最近のコマツさん自身の流行りは、前回ご紹介したように週末の森林浴です。明治神宮から始まり、新宿御苑、千鳥ヶ淵、北の丸公園、武蔵野陵(昭和天皇の墓地)を周り、父の日は都内最大級の森林を求めて、高尾山にいってきました。
息子たちが小さい頃はケーブルカーかリフトを使っていたが、昨日はすこぶる体調が良かったので、初めてそれらを使わずに自らの両脚で登ってみた。ケーブルカーの終点である中腹に差し掛かる頃には、汗が吹き出し、ふくらはぎが悲鳴を上げそうな状態だったので、木陰に立ち止まり、大きく深呼吸をしてから、ポカリスウェットを乾いた口に一気に流し込んだ。
―― 話の途中ですが、今日の話にはオチはありません。オチたら洒落になりませんので……
それからしばらくの間ベンチに腰を下ろし、遠くの山々や小さくなった街並みを眺めているうちに足の様子も良くなり再び歩き始めることにした。
20分ほど進むと、目の前にニヤニヤしながら待ち受ける長い階段が立ちはだかる。私は負けるもんか!と太ももを力士さながらにパンパンと叩いてから、一段ずつ、一歩ずつゆっくり登った。登り終え、どんなもんだ!と勝ち誇ったように両手を上げ、振り返ると挑戦的な視線を階段に向けた。季節は違うが、それはまさにロッキーがフィラデルフィア美術館前の階段を駆け上るシーンと重なった。ただし、私のそんな勢いもここまでで、実はその後、これでもかというほど何度も急な階段に遭遇することとなり、適度な休憩を挟みつつゆっくりと上を目指した。そして遂に山頂に到着。
残念ながら、hanamuraさんが毎日仰ぎ見ているであろう富士山は見えませんでしたが、五輪マークが輝いておりました。
頂上のベンチで二本目のポカリスウェットを飲み干し、帰路は来た道とは別のコースを選んだ。おそらく山頂まで歩くことができたという自信と達成感がそうさせたのだと思う。しかし帰り道は下り坂といえどもまたまたいばらの道だった。
下の写真では伝わりませんが、実際の道は雨で濡れた土と落ち葉が混ざり合い、どこまでもぬかるんでおり、少しでも足を滑らせようものなら、急斜面に転げ落ちてしまう。そんな恐怖感と闘いながら、意識して歩幅を小さくして、一時間以上かけて下りてきました。
心地よい疲労と共に、自分へのご褒美としておだんご&冷酒をいただきました。
おわります。 (^^)/~~~
(追伸)登山中、たくさんの外人さん(中国人?)を見かけました。流行り病ってどうなってるの?!
時代はリモート参拝? [小さな情報]
一日中雨が降り続いていた昨日とは打って変わって、今日の天気は快晴そのもの。併せて私の足取りも昨夜の熟睡のお陰でとても軽やかでした。
この2か月程、身も心も忙しい日々を過ごしていたせいか、あれはこうしたらどうか、いや待て、そうするとこれがこうなってしまうぞ、でもいいや、どうせあれもこれもあーなんだし、そもそもあれがこうなった理由は……、みたいな思考に頭の中の大部分が占領されていました。しかし、それも漸く今日の午前中の会議で結論を迎え、まさに今ほっとしているところでございます。
そして、明日は先週に引き続き『森林浴』に行ってこようと思っております。場所は明治神宮。最近通勤電車の中で読んでいる天皇関連本に影響され、先週急遽、散歩コースを原宿に変更しました。超久しぶりに訪れた同神宮は、日曜日で晴天だったにも拘らず、2,3分も待てばお賽銭が投げられるほど空いていました。空いていたのが良かったのかどうか、流行り病のことを考えると複雑な気持ちになります。流行り病と言えば、昨日のウェブニュースに出ていたサラリーマン川柳が秀逸でしたね。
「会社へは 来るなと上司 行けと妻」
女性蔑視とされる発言で瞬殺されてしまった前東京五輪某会長からすれば、「男」の方がよっぽど可哀そうな世の中ですよ!って皮肉のひとつでも言いたくなるような見事な川柳でした。
明日、行ってきまーす! 皆さま、森林浴はいいですよ~ (^^)/~~~
ありがとうございました。 [内なるもの]
先日、何気にSSブログを眺めていたところ、一つの記事が目にとまった。それはコメント欄で何度も会話をさせていただいた方の突然の訃報だった。その昔、私が育てているサボテンの鉢替えに際し、適切な情報をいただいたり、長男の独立日には「親というものは子供が所帯を持って初めて安心するものですよ」、なんて素敵な祝福の言葉をかけてくださいました。あの方は先輩ブロガーというよりも、ある意味人生の先輩でした。そして少々一方的な思いになるのかもしれませんが、あのブログは私にとって、あたかも交換日記のようだったと申し添えておきます。いってらしゃいませ。
こころからご冥福をお祈りいたします。