薄茶色のカフェオレが春の日に [日々の出来事]
皆さん、ついていない日ってありますよね。
自分では防ぎようのない不運に巻き込まれる日、それが昨日の私でした。
私の毎朝の通勤電車は、いつも満員です。見ず知らずの乗客と身体を接することは勿論のこと、手の上げ下げにも一苦労するほどで、またその電車が始発であってもほとんど席に座ることはありません。それが、昨日偶然にも二つ目の駅で、目の前の席が空き、周りには老人も女性もいなかったので、ちょっとしたラッキーにほくそ笑みながら座ることができました。
私は座ってすかさずバッグから文庫本を取り出し、にゃんこ画像の入った栞のページを開きます。読み始めて徐々に北鎌倉を舞台にした男女のシーンに気持ちが入っていきます。
当然、この時点では次に起こる不運など知る由もありません。そして、その主人公の男女が喫茶店に入る場面に差し掛かったところで、目の前のページに、ぽとり、ぽとりと薄茶色の水滴が落ちてきたのです。
今、目の前で起きている現象を正確に理解できないままに私が上を見上げると、私の左斜めに立っていた男性が「すみません。すみません」と連呼しながら、棚にあった紺色のバッグを取ろうとします。しかし、満員状態であったため、簡単に移動させることができません。そして、漸く彼がバッグを持ち上げた瞬間でした。ドバっと私の頭の上に、薄茶色の(たぶん)カフェオレが流れてきたのです。
その日の朝、クリーニングタグを外したばかりのスーツと文庫本がカフェオレ染めになったことは言うまでもありません。
そんな不運で始まった一日をなんとか乗り切り、ほっと一息ついて夕食を迎えました。
私の大好物のひとつ、カミさん特製の冷麺です。最近やけに騒がしい隣国は、正直好きにはなれませんが、この料理に関してだけは友好国です。
私は気分よく晩酌と夕食を終え、カミさんから「今日、妹からこれもらったの」と言って、スティックコーヒーの詰め合わせを見せられ、「飲む?」って聞かれたので・・・
「カフェオレじゃなかったらね!」
カテゴリー通りに、一日遅れの日記を書いてみました。めでたし、めでたし、(^^)/~~~
※プロフィールを更新しました。
例えば水曜日の夜 [日々の出来事]
(2/14でもないのに、チョコレート)
最近になって夫婦って何だろうって考えることがある。
昔から、嫌だなぁ、面倒くさいなぁと思える部分がある彼女だが、ここ10年ほどそういった部分に感情的に反応することがなくなった。といって、それが全く気にならず、さらりと流してしまうというわけではない。
心に余裕がない時などは、特にムカッとする。ただ、昔ほど表情に表すこともなく、言葉もない。頭の中で文句やボヤキみたいなものが心地よく彷徨っている感じに近い。
まっ、どうでもいいことなので話題を変えます。
昨日帰宅するとダイニングテーブルにチョコレートがあった。私がそれを目にした時に、ちょうど次男が冷蔵庫から麦茶の入った透明の容器を取り出そうとしていたので、後ろ向きの彼に向かって「このチョコレート、どうした?」と聞くと、息子が言うには、早いもので彼も来月から高校三年になり、そろそろ進学に向けた勉強を始めなければならないという理由から、2年近く部活と並行して続けてきたファミレスのバイトを辞めることになったらしい。そのバイトの最終日に、バイトの仲間から貰ったということだった。
私が「へ~、そういうことね・・・」と応えて、ハート形のチョコレートを摘まもうとしたところで、カミさんが買い物から帰ってきた。
「お父さん、それ美味しいでしょ!」
「この間、お父さんが貰った義理チョコとは段違い・・・。ハハハ・・・」
何かいいことでもあったのかどうか知らんが、お帰りの一言もなく、いきなりそれかよ!
っとは言わずに、その様子を見ていた息子がニヤニヤしながら入れてくれた麦茶を一口飲んだ。
私の頭の中で―――が間違いなく彷徨っていた。
皆さま、今日も一日お疲れ様でした。(^^)/~~~
休日のあくび [日々の出来事]
(退屈そうなワンコと道路の向こう側にはワンコのそばをくるりと回って去っていくハト、見えないかなぁ?シャッターチャンスを逃す)
なんだか調子が悪い。体調ではない。精神的にバランスを崩しかけているように思う。おそらくその原因は週末の過ごし方がわからなくなっているからだろう。熱中できる趣味がないというのもあるのだろうが、休日そのものに飽きてしまっているような気がする。
何十年も同じ会社で月曜日から金曜日まで慣れきった仕事をこなし、疲れていようがいまいが、確実に土日を迎える。強いストレスを感じた週にはありがたい休みのはずなのに、必ず同じ時間に目を覚ます。せっかくの休みだからと意識的に眠ろうとするが、逆に目が冴えてしまう。そのあとは大概、シャワーを浴びて、コーヒーを飲んでいるとあくびが出てくる。
「おい、おい、君(私のこと)、眠いのなら寝なさいよ!せっかくの休みなんだから」
あくびをウェブで調べてみると、「心配する必要のないあくび」と「心配なあくび」があるそうで、そう言えば脳梗塞の前兆だとかうつ病のサインだとか耳にしたことがある。ただ、私の場合は休日のこの時間と退屈な会議以外はほとんどあくびをすることがないので心配はないとは思うが、どんなものだろうか。
一昨日の土曜日、私が夕方の散歩から戻ると、長男が3か月ぶりに帰っていた。翌日の日曜日に友人の結婚式に出席するため、私にネクタイを借りにきたということだった。丁度、私もゴールデンウィークに姪の結婚式(於 大阪)に招待されていたので、前もって準備していたものをポケットチーフと一緒に貸してやった。ついでにディンプルの作り方も教えた。彼には幼少のころから競馬、競輪、競艇と私から教えられるものは全て教えてきたつもりだったが、こんなところに教えるものが残っていたとは、少しだけ嬉しくなった。久しぶりに充実した休日だったような気がする。おわり
皆さま、新しい一週間を頑張りましょう。(^^)/~~~
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改名の賛否を問う [日々の出来事]
一昨日の日曜日に再び前日の花見現場に立ち寄ってみると、晴天に恵まれた土曜日とは打って変わってどんよりとした曇り空だったせいか、花見客はまばらだった。土曜日にやって良かったと納得できた。
さて、先週の土曜日の続きです。花見を開始したのが午前11時、居酒屋での飲み会が終わったのが午後6時。その間に結構な量のお酒を飲んだ割には、足元は以前よりもしっかりしていた。
その理由は私が今年に入ってコツコツと続けているエクササイズの成果といえる。このエクササイズとは、朝と夜の歯磨き時間に併せて行っている「小松流ヒンズースクワット」のこと。まずは、つま先立ちで、右手に歯ブラシ、左手は運動会のスターターのように腕をまっすぐ天井に向け、背筋を伸ばす。このままの姿勢から、太ももが床と水平になるまでしゃがみ、一呼吸おいて、少しお尻を落として勢いをつけて立ち上がる。この繰り返し(30回程度)が「小松流ヒンズースクワット」である。
普段は何かと口を挟みたがるカミさんは、この私のエクササイズには一切口を出さない。おそらく、彼女の目にはそれを平然と行う私の身のこなしが、ある種幻想的なアートのように映っているのだろう。自分で言うのも何だが、こういうひたむきな努力を続ける私は、本当に大したヤロウだと思う。いっそのこと、現在のニックネームを小松達也から『大下八郎』に変えるべき時がきたのかもしれない。
おっと、いつものように話が横道にそれてしまったが、お酒の入った帰り道の話である。
この鍛えられた体幹によってふらつきもせず私が歩いていると、横断歩道の手前で信号が赤に変わった。立ち止まって隣に視線をやると、黒色のリュックを背負った30才前後の男性が立っていた。彼はこんがり焼けたジャンボサイズのシュークリームを大事そうに両手で包み、シュークリームを見つめていた。
そして、二人の目の前をけたたましいクラクションの音とともにトラックが通過した瞬間だった。にわかに彼はあんぐりと口を開け、そのシュークリームに顔をうずめるように食べ始めたのである。私はあっけにとられて暫く眺めていると、口の周りをクリームだらけにしながらも、彼は見事に中身をこぼさなかった。ミッション成功!彼は、間違いなく『大下八郎』だった。
表現は脚色しておりますが、決して妄想ではありません。本当の話です。おわり (^^)/~~~
トリプルエー級の失敗談 [日々の出来事]
昨日はまさに晴天で気持ちの良い一日だったこともあり、桜はなくても公園は多くの人で賑わっていた。私はそんな気持ちの良い空気を感じながら自宅近くの小学校で投票を済ませ、その足でゴールデンウィーク初日に出席する結婚式用の祝儀袋を調達するために商店街に向かった。祝儀袋を買った後、我が家に十数年前からあるあの筆ペンはまだ使えたっけなぁ~などと考えながらふらりと立ち寄った雑貨屋で、なんと、こまたつブランドのバッグを発見!
1,300円と手ごろな値段だったが、使用目的が思いつかないので写真だけで我慢した。
筆ペンのことはすっかり忘れて帰宅すると、カミさんは包丁を持ったままの姿で台所から背伸びするように隣の部屋にあるテレビに見入っていた。テレビ画面にはAAAというグループのメインボーカルが逮捕されたというニュースが流れていた。「こんなグループ、あったんだ」と私が言うと、包丁を持ったままのカミさんは険しい表情で
「お父さんも気を付けてよ!」
気を付けるべきはその包丁でしょ!と突っ込みたかったが、そこは流した。カミさん曰く、その容疑者は紅白に連続出場しているほどの人気グループだそうで、そのグループのリーダーである容疑者が面識のない女性の頬を平手打ちしたという。彼は泥酔状態だったらしい。
―― そうだよな。俺も気をつけないと・・・
恥ずかしいことに、私もお酒にまつわる苦い失敗談には事欠かない。その中でも、今思い出しても背筋が凍るほどビビった事件がある。それは学生時代、私は仲間4人と新宿の居酒屋にいた。最初は静かに飲んでいたが、お酒が進むにつれてみんなの気分が最高潮に達するころ、仲間の一人がこっそりと持ち込んでいたテキーラのボトル2本を店員に見つからないように回し飲みを始めた。掘りごたつになったテーブルの下でビールグラスにテキーラを3分の1ほど入れ、それを一気に飲み干す。空いたグラスに再びビールを注ぎ、テキーラのアルコールをビールで薄める。これをボトルが空っぽになるまで続けた。(仲間の一人が宮古島出身だったということから、仲間内ではこれを「オトーリ」と呼んでいた)
翌朝、気が付くと私は自宅アパートのベッドに服を着たまま仰向けの状態で寝ていた。アパートの入り口のドアは半開きのまま。そして、自分の両手を見るとべっとりと真っ赤な血がついている。シャツもジーンズも枕も毛布も血だらけ、カーペットには滴り落ちた血痕が入り口から続いている。私は茫然とし、何の考えも浮かんでこなかった。
しばらくして私は懸命に昨夜のことを店に入る前の記憶から一つずつ遡ろうとするが、テキーラのボトルを持ったときの冷たい手の感触だけは残っていたが、途中からの記憶が全くない。徐々に「これは大変なことをやらかしてしまったのではないか」と考えるうちに新聞紙面に踊る「殺人」という二文字が頭をよぎり、不安は恐怖に変わっていった。私は何も思い出せない自分自身に苛立ち、髪を掻きむしりながら立ち上がる。服を脱ぎ、シャワーを浴びるためユニットバスの扉を開けた。そして、正面にあった鏡に血だらけの自分が映った。ほっとした。
同時に途切れ途切れに記憶が蘇ってきた。仲間と別れてアパートに戻る途中、何かの拍子に転倒しそうになり、自分の顔を電柱にぶつけたのだった。その血の正体は鼻血だったのです。
不思議なことに、ここ10年ほどは記憶がなくなるほど飲むということがなくなった。ようやく私も常識ある紳士に成長したのか、それとも永年の飲み過ぎでついさっきまで気にしていた筆ペンのことを忘れてしまうほどに脳神経がマヒしてしまったのか?! いずれにしても、何事もほどほどが大事だと教えてくれた平成最後の投票日でした。おわり
二度もすべった結婚式 [日々の出来事]
私は今日出勤で明日から4連休になります。家族と一緒に参加するバーベキュー大会以外はこれといった予定が入っていないので、ブログのネタ探しにでも行ってみようかと思っているところです。
さて、私の連休初日は、先日お伝えしたように姪の結婚式でした。
PM 1:20 新大阪到着
うっかり改札出口を間違えて、在来線に乗れず、仕方なく結婚式場までタクシーで向かう
「お父さんが間違えたんだから、タクシー代は出してよ」―― ごもっとも!
PM 2:00 挙式スタート
親族紹介の場面で、冗談を交えて一言しゃべったが、全くウケない
カミさんが周りの人に「すみません。すみません」と頭を下げる
PM 3:30 披露宴スタート
なんと、披露宴中に私が引いたくじがサプライズくじに当選!
マイクを握って、リベンジのつもりで二度目のギャグコメントを放ったが、またもやすべる
―― みんな緊張しているから・・・、と自分自身で納得
PM 7:00 こちら側の親族のみで二次会スタート
「今日は本当にすみません。この人がしょうもないことばかり言って・・・」
またまた、カミさんが頭を下げていた ―― ゴメンね、お母さん!
PM 8:00 帰りの新幹線時刻にあわせて、途中で席を立つ
大阪で自動車部品メーカーに勤務する姪(新婦の姉)の旦那から
「おじさんの冗談、面白かったわ!」 ―― ありがとう。君はいいやつだ!
PM 11:42 東京駅到着
帰宅すると長男が帰っていた
「お父さん、明日、平成最後の天皇賞、みんなで行かない?」
それを聞いていたカミさんが、ポツリ・・・
「今日、お父さんは2回もすべってるから、明日は当たらないと思うよ!」
私の馬券は外れたが、カミさんの(私が当たらないという)予想は見事に的中したというGWの始まりでした。
おわり (^^)/~~~
消えたコーヒー代の計算 [日々の出来事]
さて、今日は哀愁のコーヒー代についてお送りします。
私は出張や直行の外出がない限り、一日に一度は会社近くのファミマにあるセルフコーヒーを買っています。そのファミマで、今年の初めから新型のセルフコーヒーマシーンが導入されました。
ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、この新型マシーンの頭には透明のプラスティック容器にコーヒー豆が詰っており、グリグリグリという音と共に本格的なドリップコーヒーが流れ落ちてきます。ただ、私はコーヒー通ではないので味の変化はわかりません。それでも得した気分になることは間違いない。
先月のGW初日に姪の結婚式に出席したという話は先日お伝えした通りで、その翌日の4月28日には長男に誘われて府中競馬場(メインは天皇賞春:京都競馬場)に行ってまいりました。
結果は、総額4万円を投入し、途中3本の的中はあったものの残念ながら惨敗に終わりました。帰りの道すがら、涙目で財布の中身を確認すると、1万円札が1枚と千円札2枚、小銭入れに50円玉1枚と10円玉が数枚でした。その悲惨な結果に落ち込む私に向かって、隣を歩いていた長男が傷口をえぐるように容赦なく畳みかけてきます。
「あぁ~、なんとかトントンで済んで良かったわ!」
「お父さん、最後ぶっこんでなかったら、プラスだったんじゃないの?!」
「そうだ、幡ヶ谷に美味い居酒屋見つけたから、行こうよ!」
結局、その居酒屋でホッピー焼酎Wをがぶ飲みし精算を終えた時には、私の汗と涙がしみ込んだお札は全てなくなり、小銭入れに50円玉1枚と10円玉が3枚だけでした。
これでは、コーヒー1杯も買えない・・・無念!
(あとがき)
もし、あの日私が風邪でも引いて競馬場に行ってなかったとしたら、その日浪費した金額はファミマのセルフコーヒー(Sサイズ)400杯分に相当する。1か月間にセルフコーヒーに費やする金額を2千円(20日勤務×100円)とすると、なんと1年と8カ月に及ぶ計算になる。東京オリンピックが閉会してもなお3か月間はタダで飲めたのだった。因みに、20円割引セールは考慮していない。おわり
昨夜の憂鬱 [日々の出来事]
今朝の私は目覚まし時計に八つ当たりしたくなるほど寝起きが悪かったので、今日はその原因について簡潔に解説します。
◆◇◆◇◆◇◆(ワンポイント解説)◆◇◆◇◆◇◆
達也は午前零時の静けさの中で目を瞑(つむ)っていた。
マンション前の通りを不規則な時間差で走り抜ける車の音が僅かに聞こえる。しかしそれは達也の睡眠を妨げるほどのものではなかった。
ようやく達也が眠りに落ちそうになった時、達也の前に予期せぬ邪魔者が現れた。
それは達也が仰向けから横向きに寝返りをうった時、彼の骨盤と大腿骨が連結する部分(下図の赤丸部分)に、あたかもオーケストラの指揮者が使用するタクトの先が突き刺さったような激痛が走った。
このタクトの動きには更なる解説が伴う。これはタクトの先が肉の中を貫通し、骨に直接触れてしまうといったものではなく、肉の表面が破れる寸前まで押し込まれている状態。つまり、中身の肉は外見上分断されているが、皮の部分は著しく変形しながらも辛うじて破損までには至っていない状態である。
もう少しわかり易くいうと、ちょうど伸びの良い大福餅を人差し指で押し込んでもなお、中身のアンコは外気に触れないよう維持された状態であり、その激痛はこの場合の大福餅に見られる<凹み>によって生じたものであると考えられる。
当然、顔をしかめる達也には、この時点で悠長に大福餅をイメージするだけの余裕はなかった。彼は暗闇の中で一人目をつむり、只々憂鬱になっていたのである。
では、いったいこのタクトの正体は何だったのだ?! さぁ、くだらないとお思いの皆様もご一緒にお考え下さい。
レディーファーストを少々 [日々の出来事]
ということで、本日はこの程度なら大丈夫!というお話を「少々」させて頂きます。この場合の「少々」は、暑い夏、冷奴の上にツナおろしをのせ、ポン酢を大さじ1と1/2、ごま油を小さじ1、ラー油と細ネギ「少々」の「少々」です。はぁ?
(少し見ずらいかもしれませんが、この画像は優先席の隣から撮影したものです。)
先週の金曜日、帰りの電車に乗ると、まだ時間的に早かったので結構混んでいるものと思いきや、空席はなかったもののいつもより若干空いている状態でした。
私はいつものように優先席横の開かない方のドアの隅に立ち、文庫本を読んでいました。三つ目の駅で、私の見立てが正しければ、おそらく65、6才の少しぽっちゃりしたおばさんが、たくさんの花束をかかえて乗車してきました。おばさんは「はぁ~」、「ふぅ~」と周りに聞こえるように溜息をつくと、私の手前45度、おばさんから見ると優先席の右端に花束を抱えたまま立ちました。
私はおばさんがその状態ではつり革を掴むことができないと判断して、私が立っていたドア隅の位置を譲ろうとしたとき、おばさんの目の前に座っていた、これも私の見立てが正しければ、41、2才のサラリーマン風の男性が「どうぞ!」と言って、席を立ったのです。
おばさんは、よく通る声で「え~、いいんですか? ありがとうございます。いや~、すみません」と言って花束を床に置いてから、優先席に腰を下ろすことが出来ました。
これだけの話なんですけど、どう思われます?
私にはこのおばさんが乗車してすぐに漏らした溜息が、次のように聞こえました。
「これだけの荷物でしょ、それに私は十分シルバーだし、女だし、おまけにおばさんだと一目で分かるようにパーマかけてるし、まさか、譲らないなんてことは・・・」
王手飛車取り、お見事! おわります。 (^^)/~~~
ある日のお弁当 [日々の出来事]
ある朝、コマツさんはその日の午前中に健康診断の予定が入っていたため、朝食は取らずに、洗面所で歯磨きをしていた。次男用のお弁当を作っていたコマツさんの妻は、今朝、寝坊をしてしまって「時間がないわ、時間がないわ」としきりに焦っている様子。その内、台所からガッシャーン!というけたたましい音がした。
「あっちゃ~、参ったなぁ~」
「まっ、いいかっ、今日はこれで!」
漸く、その言葉で彼女の慌ただしい朝のルーティーンが終わった。コマツさんは、「これ、あまったの」と、妻からビニール袋に包まれたおむすびとオカズらしきものを手渡され、家を出た。
コマツさんが午前中の健康診断を終え、クリニックの入った軍艦のようなビルのエントランスを出ると、コマツさんより先に診断を終えていた同僚の部長さんが待っていた。
「蕎麦でもどう?」という部長さんに、コマツさんは、「今日は珍しくお弁当なんだ」と答えた。
すかさず部長さんはニヤニヤしながら「へ~、愛妻弁当ですか?」
そこで二人は別れ、コマツさんは会社に戻った。ちょうどその時間が昼食時間帯だったということもあり、社内には透明なガラスで仕切られたミーティングルームに2、3人がいるだけで、コマツさんの席の周りには誰もいない。コマツさんは妙にほっとして、カバンを開け、ビニール袋の包みを取り出した。そしてビニール袋を横に引っ張るように思いっきり力を入れると、うっかり中のおむすびが飛び出てしまった。
おむすびは机の角にあたった勢いで、床の上をコロコロと転がる。コマツさんは追いかけるが、黒い画面のモニターが数台並んだPCデスクの下まで転んでいった。コマツさんはPC手前の椅子をずらして奥を覗く。すると、忽然と目の前にマンホールのような穴が開き、おむすびはその穴に落ちてしまった。
「嘘だろう?!」
コマツさんはあまりにも突然の出来事に冷静さを失い、さらに奥に潜り込もうとした、その瞬間でした。コマツさんは頭から吸い込まれるように真っ暗な穴の中に落ちてしまったのです。
落ちた先では、たくさんのネズミたちがコマツさんのおむすびを神輿のように担ぎ、「おむすびころりんすっとんとん」とみんなで楽しそうに歌っている。
すると、神輿の後ろから、白い大きな髭をたくわえた長老ネズミがコマツさんの前に現れ、短い挨拶を済ませたあと、貴方にお礼がしたいと言う。動揺が収まらないコマツさんは、その申し出にどう答えて良いのかわからずにいると、その長老ネズミは大きく手を振り、耳に赤いリボンを付けた可愛いネズミを呼び寄せ、コマツさんの前に跪かせた。
顔を上げた赤いリボンのネズミは、コマツさんと手を繋ぐようにグラスを渡し、そのグラスになみなみとリボンと同じ色のワインを注ぐ。コマツさんは“もうどうなってもいいや”と開き直り、ワインを一気に飲み干すと、間を置かずに赤いリボンのネズミが、あ~んと口を開けるように催促する。それにつられてコマツさんが大きく口を開けると、芳醇な香りがするチーズが口の中にそっと納められた。暫くこの歓待が続いた。
コマツさんの酔いが程よく回った頃を見計らっていたように、長老ネズミの合図によって、大きな包みと小さな包みがコマツさんの目の前に差し出された。どちらかお好きな方をお選びください、と長老ネズミからの説明を受けたコマツさんは少しづつ冷静さを取り戻し、”そっか、この場面ね!”と何かを思い出したかのように手を打ち、小さい方の包みを手に取り、家に持ち帰った。
コマツさんは家で待っていた妻に今日一日の出来事を話し、お土産に貰った小さな包みを開けてみると、中にはたくさんの一万円札が入っていたのでした。
翌日、その話を聞きつけた社内で一番強欲だと評判の会長は、近くのコンビニで100円おむすびを買い込み、PCデスク下の穴におむすびを投げ入れた。そして・・・
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あれ?もしかして最後までお読みいただきました?これは、大変失礼いたしました。 最初は真面目に日記を書こうと思っていたんですけど、いつの間にかこんな展開になり申し訳ございません。(^^;
(ご参考)GWの損失を取り返すために節約を続ける小松さんの昼食風景