11月下旬の寒い日のこと

帰宅途中、わたしの目の前に突然猫が現れた

その茶色と白の猫は薄暗い裏通りで、後ろ向きのまま顔だけをわたしに向け、ニャアと鳴いた

目が光っている。わたしはその光る目に視線を合わせたまま、ゆっくりとアスファルトに膝をつき、お土産にもらっていたクッキーを鞄から取り出し、セロファンの包みをそっと破った

猫は体勢を変えず、じっとわたしを見ている

わたし
は手を思いっきり伸ばしてクッキーを静かに置いた

猫はくるりと半転し、座ると同時に尾っぽを地面を掃くように二度振った

わたし
はクッキーの位置を少しだけ猫に近づけてみた

それでも猫との距離はまだ2メートルほどある

ニャーオ、ニャーオ、おじさんは味方だよ! と話しかけてみた

猫は身体の向きを斜めにして背伸びを始めた。それはそれは気持ちよさそうに

その時だった。コインパーキングから出てきた車のヘッドライトが眩しく光った

わたしは目を細め手をかざすと、指の隙間から
しなやかに飛ぶ puma のシルエットが通り過ぎた

猫はマンションの生け垣を飛び越え消えて行った

☆  ☆
 
お久しぶりです。
皆さま、お元気ですか?!^^



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