本日、緊急事態につき2日連続の投稿です。by こまたつ





☆ ☆

カミさんの機嫌が悪い。

その原因は7日に行われたWBAIBF世界バンタム級王者、井上尚弥と5階級制覇王者ノニト・ドネアとの対戦にあった。戦前の予想では若さとスピードで勝る井上の早いラウンドでのKO決着とする見方が強かったが、迎えた第2ラウンド、ドネア必殺の左フックが井上の右目を捉え、まぶたを切られた井上は早くも劣勢に立たされる。私はまさに手に汗握りヒヤヒヤしながら画面に釘付けになっていた。その時だった。私の右斜め後ろから、「いけー、いけー」とカミさんの声が飛んできた。ただ、私はその声のタイミングがTVに映り出された井上の動きとは微妙にずれているように感じた。

これまで、ボクシングの試合などほとんど見なかったはずのカミさんが料理そっちのけでエプロンを揺らし、握りこぶしを振り上げている。―― いったい彼女に何が起きてしまったのか。

私は大学時代、バイト先で知り合った京都出身の熱狂的なボクシングファンの影響から、一時期ボクシングの魅力に取りつかれていた。一人で後楽園ホールや横浜体育館(世界戦)に行くほどのめり込み、一度だけだが、その彼と一緒に渡嘉敷勝男(元WBA世界ライトフライ級王者)と飲んだこともある。今でこそ、その頃の熱は薄れてしまったが、それでも井上の美しいボクシングは繰り返しYouTubeで見ており、彼のスター性は玄人なみに語れるつもりだ。日本人にしてバッキャオ級のボクサーが誕生するかもしれないという期待を寄せ、この日を心待ちにしていた。同時にTV画面を見つめる私は知らず知らずのうちに学生時代の自分にタイムスリップしていたように思う。

第9ラウンドのゴングが鳴った。一進一退が続く中、
ドネスの右ストレートが井上の顔面を捉え、一瞬ぐらつく。井上の顔半分が血で真っ赤に染まる。あっ、危ない! その瞬間、「ドネア、いけー」の声が……

え? 私は一瞬何が起こったのか掴めないまま、
思わずその声に反応してしまった。

「うっせぇなー、どっち応援してんだよー」

大人気ない。悔やんだ。後ろを振り返ると、すでにカミさんは台所に消えていた。

中継が終わり、そっと次男にその話をしたところ、彼が言うにはカミさんはどこかの番組でドネアの経歴や独占インタビューを聞いていたらしく、「この人は誠実で真面目で頭も良くて、本当に尊敬できる人なのよ」と力説していたらしい。

今朝家を出るとき、「行ってきます」に対する返事はなかった。ドネぃアねん!

祈夫婦円満。 (^^)/~~~


世界にたった一つ、あなただけのドメインを登録しよう!

月額900円(税抜)から、高速・多機能・高安定レンタルサーバー『エックスサーバー』



エルセーヌ「小顔」体験キャンペーン