私はいつタバコを止めたのかを忘れてしまったが、止めた時のことは割とよく覚えている。

そのきっかけは喉の痛みだった。その痛みからいつものように煙を吸い込むということが出来なくなった。痛みは三日ほど続き、痛みが治まった時、また吸いたくなった。程度の差こそあれ、薬物依存という立派な病気であることは間違いない。

早速自宅近くのコンビニに行き、ちょうど100円ライターのオイルが無くなっていたのでライターと一緒にKENT1mgを買った。久しぶりに吸ってみると、まだ少し痛みを感じる。そして以前のように美味しく吸うことができない。その時、止める決意をした。

禁煙の決意はこれで4度目。3度目の正直ではその決意は半年も持たなかった。軽々しく「決意」という言葉を何度も用い、そして性懲りもなく翻すところは、私に政治家としての素養があることを表しているのかもしれない。その証拠にタバコを吸い始めるたびに「遺憾の意」を表明してきた。

新しく買ったタバコは1本吸っただけで、残りの19本はその日に捨てた。ライターはどうせまた吸い始めるだろうと思って捨てていない。そのライターは、今も私のバッグのほとんど開けることがないジッパーの付いたポケットの中に入っている。

昨日そのライターをバッグから取り出し、久しぶりにカチッと押してみるとちゃんと火がついた。炎を目の前にかざしながら、「次、遺憾の意を表明するのはいつ頃だろうか」と考えた。おしまい。(^^)






もうすぐ絶滅するという煙草について



  • 作者: 芥川龍之介

  • 出版社/メーカー: キノブックス

  • 発売日: 2018/02/01

  • メディア: 単行本(ソフトカバー)





 

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