今日の関東地方は予想通り雨が降ったり止んだりの一日でした。


(今日の散歩)
朝は晴天だったが、私は天気予報を信じ、バッグに折り畳み傘を忍ばせて散歩に出た。





正午過ぎ、昼食をどこにしようかと考えながら、TOHOシネマズのゴジラを背に靖国通りで信号待ちをしていると、私の斜め前の街路灯の陰から、昔TVで見たチェルシーという飴のCMに出ていた白人少女の髪型に似たヒゲ面のおじいさんが現れた。その小柄なおじいさんはよれよれのスーツ上下に汚れたスニーカーを履き、大きな手提げ袋を持っている。信号待ちをしている人たちの半数程度は、突然降りだす今日の天気に備えて、傘をさしている。一方、私はジーンズにTシャツだったので小雨は気にならず、傘はさしていない。

私は信号機が赤に変わったばかりだったということで、信号が変わるまでの時間を考えると、そのおじいさんの視線が妙に気になった。案の定、おじいさんと私との間に生ぬるい空気が出来てしまい、おじいさんはそれを待っていたかのように私に話しかけてきた。

「頭っ、来るよなぁ~、新しい傘を買ったら、止んじまうんだもんなぁ~、まったく!」

おじいさんは私の顔を見ながら続ける。

「お兄さん、これさっき500円で買ったんだけど、300円で買わない?」

私は、最初は無視をしようと考えたが、この小柄なおじいさんなら危害を加えられることはないだろうと踏んで、ちょっとからかってみることにした。

「10円なら、買ってもいいよ」

「バカ言ってんじゃないよ!500円の新品だぜ!」

といって、おじいさんは透明のビニール傘を自分の右肩にのせ、ポンポンと二回叩く。

「じゃ、いいよ! 200円でどうだ!」

ちょうどその時、信号が青に変わった。私はおじいさんから目線を外し、わざとおじいさんに見えるようにバッグから折り畳み傘を取り出す。そして、「貴方には、チェルシーあげない・・・」と心の中で呟きながら、おじいさんの目の前を通り過ぎた。

あのおじいさんにとってこの季節は、待ちに待った稼ぎ時だったんですね。おしまい  (^^)/~~~






余った傘はありません (幻冬舎文庫)



  • 作者: 鳥居 みゆき

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎

  • 発売日: 2015/02/10

  • メディア: 文庫







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