(曇り空の日曜日、近所にて)





世間では大型連休や新天皇の即位と改元で大いに盛り上がろうとしているさなか、彼は重い気持ちを抱いたまま週末を迎える。前日の土曜日、終始バカ騒ぎに興じた花見を終え、それが功を奏したのかどうかは定かではないが、翌朝を迎え、彼は漸く最近の漠然とした苦悩の原因に向き合おうとしていた。

それは間違いなく社内の人間関係にある。昨年の秋口、彼が役員を勤める会社のトップから彼の考えとは明らかに異なる新しい方針案が提起され、この発表までの過程において十分な協議時間は与えられていたものの、肝心の中身については曖昧なままに流された。その間、彼自身が納得できるような対応策が見いだせないままに時間が過ぎ、

―― ここで、自分の考えを貫き通そうとした場合、間違いなく経営陣に亀裂が生じるだろう。

そんな不安から、彼は敢えてがっぷり四つに組むことを避け、決を採る際、彼と一人の常務取締役だけが挙手をせず、他の役員の賛成多数で承認された。彼の鬱屈した感情はこの時さらに深まった。

もし、彼にこの苦しみという呪縛から解放される方法があるとすれば、それは辞任覚悟で自らの意見を強引にでも貫き通すことなのか。集団や組織で活動する以上、意見の相違や対立は必然的に生じるもの。しかし、対立したままでは物事は前に進まないので、多くの組織では何らかの方法によって折り合いをつけようとしている。

対立する相手に対し正々堂々と議論をもちかけ、合意に至るまで徹底的に話し合うなどといった小説やドラマで描かれるような爽快なシーンは現実の世界ではありえない(少なくとも彼にはそのような経験はなかった)。結局残された手は、いずれか一方が妥協するか、或いは辞めてしまうしかないのだ。しかし、今の彼に辞める勇気はなかった。

え?これが、平成最後の結論?!

彼の社会人としての生活は、すでに町田先生(ど根性ガエル)の教師生活を優に超えている。その間、幾度となく壁にぶちあたってきたが、越えられない壁はなかった。超えようとする行動の一つ一つが貴重な経験だったと、このタイミングでやっと彼は気づくことができたのだ。そう、納得して諦めるということも・・・。

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。

私にとっての写経のようなものを終わります。(^^)
 

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