―― いつの間にか慣れっこになってしまった最高気温の声は何処へやら
昨日今日と大変過ごしやすく、蝉の声も心なしか優しく聞こえる。それに比べお盆明けの土日は街中がギラギラしていて今にも燃えてしまいそうなほど暑かった。特に散歩コースの歌舞伎町あたりは地方からの若者と外国人観光客が入り交じり、方々から聞こえてくる歓声と雑音でなおさら気温が上昇しているように感じた。

その日、私は歌舞伎町の人込みを避けるように、西新宿の外れにあるコンビニで缶ビールを買った。そして客の出入りの度に店内の冷たい空気が流れてくるゴミ箱の横でビールを飲もうとした。ちょうどその時私の前に2人の子供を連れた外国人男女が現れた。見た目から、おそらくフィリピン人の家族である。

―― エックスキューズミー
父親であろう男性が恐縮した表情で私に一枚のチラシを見せ、そこに書かれていた地図を毛むくじゃらの太い指でさしながら英語で尋ねてきた。チラシのお店に行こうとして迷ってしまったらしい。私は簡略化された地図と現在地を合わせるように受け取ったチラシの角度を変え、地図に書かれた一番広い道路と目の前の青梅街道を一致させる。すると地図上に今いるコンビニの位置がだいたい見当がついてきたので、コンビニから黒く塗りつぶされたお店までのルートを何度か指でなぞってみたところ、その目的地は『小滝橋通り』沿いにあることが分かった。

―― この道を真っすぐ行く、そして次の交差点を左に曲がる。そのまま50mほど進むと左手に見える
と私の流暢?な英語で教えてあげると、父親は「ありがとう。そのビール旨そうだな!」と満面の笑みで応え、子供たちの背中を押しながら立ち去っていった。私がその家族の後姿を見送っていると、スキップしていた二人の子供が振り向きざまに大きく手を振った。私は大事な仕事を一つ終えた時のような気分でビールを一気に飲みほす。

あ~、うまい! & すこし緊張した。あれ? (^^;

 



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