前回の記事で親愛なるお三方よりコメントをいただき、これは取りも直さず「話をを続けてもよろしい!」という合図であると承知いたしましたので、今日は続編をお送りいたします。もし、先日の結婚式のようにすべってしまった場合は、ニッキーさん、責任を取ってくださいね!冗談です。(^^;

(前回のあらすじ)
夏休みが始まって間もなく、中学三年の達也は部活の帰りに同じクラスの友人Aとトランプゲームの約束をする。そのメンバーの中にAの妹がいた。この妹は見た目はごく普通の女の子ではあったが、時折、周りをびっくりさせるような特異な行動をとることがあった。その女の子の前で達也は密かに練習していた見事なカードシャッフルを披露し、達也の一つ年下で幼馴染Bを加えた4人で、ババ抜きが始まった。



友人Aの妹(一)はこちら








(二)ジョーカー
テーブルを囲み、
達也の右隣にAの妹、正面がB、左にAが座っている。最初のカードの配布時点でジョーカーは達也のカードの中にあった。達也はポーカーフェイスを装いゲームが進んでいく。

中盤に差し掛かったところで達也のカードが5枚、ジョーカーはまだ達也の手の内にあった。次は達也のカードを妹が引く番である。達也はこれまで敢えてAの妹にジョーカーを引かせないように配慮してきたが、引き続きそれを意図して、カードが5枚になったところで、5枚のカードの真ん中にジョーカーを入れ、その1枚だけが高く飛び出す形(凸)で妹に向き合った。

それを見た妹は眉をひそめ、首をかしげる。なかなか引こうとしない。しびれを切らした兄のAが「早くしろよ!」と促す。妹は一度大きく深呼吸し、右手を伸ばしてカードを引いた。その瞬間、顔をしかめる達也をよそに、妹は左手に持っていた手持ちのカードをテーブルに置き、引いた1枚を生まれて間もないヒヨコを抱くようにして、両手に包み込んだ。そして両手を小さく開いて、親指の隙間から中を覗き込む。

「あっ!」

次の瞬間、引いたカードを自分の額にパチン!と打ち付けると、ジョーカーごとテーブルに額をぶつけて固まってしまった。

目を丸くした達也はテーブルと妹の顔の隙間を覗き込むようにして、「大丈夫?」と声を掛ける。しかし妹はピクリともしない。達也は助けを求めるように視線をAに向けると、Aはその展開を最初から予測していたかのように落ち着き払った表情で妹の方を指差す。達也が振り向くと妹はゆっくり顔を上げ、目から大粒の涙を流した。

すかさず、Aが「泣くなよ~」と言いながら天井を見上げる。その声に反応するように妹はいきなりスカートをまくり上げ、そのスカートで涙を拭いた。次の瞬間、達也は「俺は見ていないよ!」と言わんばかりに、自分の体を妹とは逆方向にねじるように立ち上がり、タンスからハンカチを取り出し妹の目の前に置いた。妹は達也にこくりと頭を下げ、涙は止まった。

妹は次のBに向かってカードをかざす。すると先程の達也と同じようにジョーカーだけを高くしている。Bは一瞬不思議そうな表情を見せたが、妹の瞳にジョーカーが映っているかのように難なく別のカードを引き、「よし!」と言うと、揃った2枚のカードをテーブル中央に放り投げた。この時点でBのカードは2枚になり、次にAが引いて、Bは1枚になった。

それから二周回ってAも1枚になり、達也のカードは2枚。3枚の妹は、兄からの「上、下、真ん中でやれ!」という助言を聞こうともせず、3枚のカードが均等になるように両手で扇の形にし、さらに3枚のカードの高さが同じになるように繰り返し手のひらで撫でた。Aは「知らねぇぞ」と言いながらも、心配そうに妹を見つめている。達也は達也でBがジョーカーを引いてくれるよう祈った。しかしBが引いたカードはジョーカーではなかった。これによりBの1位が確定し、続いてAもすんなり最後の数字を引き当て、最後に達也と妹が残った。

妹が差し出した2枚の内、1枚だけが極端に高くなっている。達也は、我に透視能力を与え給え!と祈りつつ、高い方のカードを選んだ。しかしその祈りはついに叶わなかった。

残されたジョーカーを見つめる妹の目から、先程よりもさらに大粒の涙がポロポロと零れた。(つづくの?)


ラブライブ!コラボキャンペーン

エルセーヌの「小顔」体験



無料・簡単登録で毎月ポイントもらえる【パソコンモニター募集】

https://business.xserver.ne.jp/